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マシュマロ・ウェーブ「マリオン・ブリッジ」(演出:木村健三) @ シアターグリーン [観劇日記]

小劇場の役割の1つに「実験的な試み」がある。
今回、観劇した舞台は正にそれだ。
カナダ現代演劇の旗手と評されるダニエル・マカイバー作品。

舞台上には、テーブル1つとチェアが2つ。
この空間(部屋)で、アグネス、テレサ、ルイーズの三姉妹が物語を展開していくのだけど、
3人中2人は、英語ネイティブで、もう1人は南アで過ごしたバイリンガル。
2010_0320marion0003.JPG s1_1263810837.jpg この異質な空間に慣れるまでに少し時間が
かかった。
日本語に慣れない欧米人が話す日本語。これで、物語を創れるのか?
観客を満足させられるのか?

そんなこちら側の不安を余所に物語りは進む。
気が付けば、この空間に慣れていた。
長女アグネスは元気のいいお姉さんで、次女のテレサは修道女で落ち着きと冷静さを持ち、
長女よりも強い存在に映る。長女にモノが言える存在だからか。
三女のルイーズは謎なキャラクターで物語と共にその素性が明かされていく。
登場人物3人のキャラクターがハッキリと明確に示されている点が良かった。
中でもテレサ役の小関リナの存在感は圧倒的だった。

母親が危篤という状況下で再会した三姉妹。
過去の記憶を振り返りながら、今それぞれが抱えている問題が見えてくるストーリー構成と
演出は圧巻だった。
日本の演劇文化に一石を投じたような作品だった。

詳細はこちら:http://www.sepia.dti.ne.jp/kimuken404/marshmallow/

突き刺さる台詞の数々。
口癖のように言う、「どうでもいい」とか「関係ない」とか。
次女が混乱した場面からは自己有用性についてを考えさせられた。
三姉妹の抱える背景をベースに語られる「ことば」は、現代人の悩みそのものだったりする。

三女ルイーズの人生のドライブは、最高の見せ場だ。
目的地には、気が付いたら到着していればいい。
どうやって行こうとか、こうしなければならないなんてことは考えないでいい。
今、どうしているか。
余裕を持ち、計画には柔軟性を持たせること。

ラスト・シーンの演出は、優しい愛に包まれていた。
劇場を包み込む優しさ。
それは、癒し。
それは、娘達に対する母親の愛。
彼女たちの母の愛が客席を包み込む。
その瞬間、客席と舞台が共有された1つの空間を創り上げる。

実に優れた芝居で、演劇FANとして見れば新しい演劇の可能性を見出し新鮮で、
役者として見てれば、相手との距離感や立ち方という部分においては参考になった。

異質な空間が異質でなくなる日はそう遠くない。
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ルイーズ

素敵なレビューを有難うございます!
楽しんで頂けたようでなにより嬉しいです。
ご覧頂いた客さんの感想を聞かせてもらい、自分でも自分のキャラクターについて気づく点も沢山あります。どうも有難うございます!!
by ルイーズ (2010-03-24 07:45) 

HWK

ルイーズ様
訪問ありがとうございます。
ルイーズ役の松田アシーナさんですね!
演じられた方からの直々のコメント、嬉しいです。
私の友人が月曜日に行き、
「最初は戸惑ったけど、物語が進むにつれて引き込まれた」と
メールが来ました。
I'm looking forward to watching your next stage.
言葉の壁、文化の壁が高い日本。この舞台は、
異質なものを打破した点において画期的な作品だと思います。


by HWK (2010-03-24 23:10) 

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