16~18話:師の怒りと陰謀の序章 [宮廷女官チャングムの誓い(大長今)]
ハン尚宮が怒る。その静かな怒りは15話の後半から少し出ていた。
チャングムがより良い食材を求めて奔走する。しかし、競合の課題は、「民が食べているもの」で
且つ「捨てられるもの」で何か作るということだった。
それを忘れ、高級な食材を選んできたこと。
「味を描く才能が仇になった。」
と。チャングムには語るが、本心は、
「状況に流されず、平常心を保たなければならないこと」を伝えたかったようだ。
宮中では生き抜くために、脅迫や懐柔、大金で勢力争いを仕掛けられることがあるからだ。
チャングムを戒める為か、ハン尚宮はチャングムを王の保母尚宮が療養するお寺へ派遣。
そこで、チャングムは当たり前のことを思い出す。
チャングムは保母尚宮が食べたいという米を小細工して作るのだが、受け入れてもらえなかった。
涙を流して保母尚宮が食べたのは住職が手間隙かけて作った米だった。これだ。棺に入れて下
さいと懇願された米は、「真心と汗」で作られたものだった。
秘訣ばかりに気をとられ、原点を忘れてしまったチャングムへの戒め。
何か特別な技術を持つと忘れてしまう原点。慢心や過度の自信は、最大の敵かもしれない。
自暴自棄になったチャングムを見つめるジョンホ様の眼差しがいい。
チャングムとジョンホ様を見つめるクミョンの眼差しもまた好きだ。光り輝くチャングムとは
対照的に思い通りにならない運命を背負うクミョンの影がたまらない。効果的な音楽が
観る者の感情を煽る。恋のトライアングルが始まった。
物話は、チェ尚宮を代行最高尚宮に指名するというとんでもない陰謀が幕を開ける。
歴代の最高尚宮だけが持つことの許された秘伝の書物をチェ尚宮が隠し持っていたことが
発覚。慌てるチェ尚宮。宮中に蔓延する疫病。疫病患者を外に出すようにとの王命が下る。
腎臓が悪く、膝が悪くなったチョン最高尚宮を宮中の疫病患者と共に追い出した。
パク女官長とチェ一族には喜びこの上ないたまらない事態となった宮中での疫病蔓延。
ジョンホ様への想いを断ち切る為にか、クミョンは変貌する。拒み続けた一族への加担。
根回しに奔走する。非常にインテリな一面を伺わせる場面でもある。
チェ代行最高尚宮は、ハン尚宮とチャングムを明の使臣の接待へと太平館へ送った。
粗相の許されない明使節団への接待。世継ぎを決める重要な場。
ハン尚宮とチャングムは、糖尿病を患う明の使節を思い、使節の嫌いな野菜料理を献上。
怒りを買う。5日間、食べて体調が良くならなければ明のやり方で処罰すると宣告される。
ハン尚宮は監禁され、チャングムが全てを背負った。
それに乗じたチェ尚宮とクミョンは史上最高の中国料理を用意し、止めを刺しにいく。
厳罰が下るのかー。不安なチャングムの顔で終了。
状況に流されず、いかなる時も平常心を保つ。言葉で言うのは簡単だが、これは難しい。
常時、冷静に今の自分が置かれている状況を把握するということ。
職(食)への信念。
報われない恋の虚しさと美しさ。
光と影。
早くも18話まで終了。
ハン尚宮様って、性格とか行動パターンが私の母にそっくりなんですよね。母も栄養士という言わば“食のプロ”。職業まで似ている(笑)。
母の怒りも静かです。声を荒げたところなんか一度も見たことない。むしろ、怒るほどに抑制された静かな話し方をします。普段、弾けるような佐賀弁で賑やかに喋るのが、段々声のトーンが落ちてきて標準語に近い喋りをやり出したら要注意。あとは延々と物静かに「こんなことをしていいとおもってるんですか?」てな調子で詰問されてました。
食事の支度とかも結構手伝わされましたが、特に教えてくれるわけでもなくいきなり「ほうれん草を茹でて」と言うんですよ。「どうやるの?」と聞くと「あんた、いちいちいわなわからんが?お母さんのやってること、何も見とらんかったんやね」と冷たく言い放たれました。要するに、「技は見て盗め」ってことなんですよね。思わず、「あんたは職人の親方かぁ?」と心の中で突っ込み入れたりして。だから、チャングムが「ハン尚宮様は何も教えてくれない」とチョン尚宮様にぶーたれてるとき、「うんうん、よくわかるよ。あんたの苦労・・・」と頷いておりました。
ソルロンタンを作る際、チャングムの慢心を言葉で制することの無かったハン尚宮様。一見、意地悪に見えるかもしれないけど、ああいう状態の人間に何を言ったところで“馬耳東風”なんですよね。だから、あえて痛い目にあわせて、わからせようとしたのでしょう。でも、チャングムをお寺に送った後、無言で夕日を背にたたずむハン尚宮様はきっと、「これでよかったのだろうか。あの子はわかってくれるだろうか・・・」と案じていたように見えました。不器用な人なんですね、ハン尚宮様って。
by 葵ママ (2008-01-22 00:23)
ハン尚宮様が、夕刻に幼少の頃のチャングムを思い出す場面!
よかったですね。寺に出したことがよかったのか否かを自ら
葛藤し、チャングムなら分かってくれると信じていました。
チャングムの代わりとして立候補してくるメンバー3人は、
何一つできないでふてくされている時の
クミョンが放つ
「チャングムは全てやったわ。」の言葉に凄味を感じました。
by ハートウォーミングキッド HWK (2008-01-22 22:42)