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吉田大八監督「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(2007年・日本) by DVD [映画鑑賞]

これは、面白い。非常に面白い。田舎の人間模様が力強く、滑稽に、激しく、強かに描かれて
いる。田舎の映画というと、ノスタルジーに浸るものが多いが、今村昌平監督なんかが描いた
「日本昆虫記」のような女性の強さや田舎の毒を思い出さずにはいられない。時代背景が、
違うとはいえ、これは個人的に傑作に値する作品だ。
田舎は、コレだよ。平和で、のどかで、優しくて、落ち着くような場所じゃない。
原作の本谷有希子さんの素晴らしさは、昨年に拝見した舞台「遍路」で確信したけど、
今作を舞台で、しかも初の公演がこんな作品かと思うと、才能は爪を隠せないものだなぁと
つくづく思う。
20070521005fl00005viewrsz150x.jpg物語は、両親の悲劇的な死から始まる。兄、姉、妹の3人に、兄嫁の4人暮らし。
姉は、上京していて、女優を目指している(才能がないのに自覚なし)。
(この姉のキャラクターは、同作家原作の舞台「遍路」で馬渕さんが演じた形に近い。)
兄は、その妹と秘密の関係がある。下の妹は、姉と兄の関係を知っていく。
姉のイビリも恐怖だ。姉の全てをネタに、ホラー漫画を描き続ける。妹には、漫画家の
才能がある。
嫁は、明るくて元気なのだが、孤児院で過ごし、30歳を過ぎても、結婚しても処女という
悩みを抱えている。
主軸の物語は、女優を目指す姉の狂気。
家族とは?兄弟とは?
なんだか、ドロドロしてイヤな部分を誇張したような映画かもしれない。
表と裏。
妹の感情の爆発と計画的行動のラストには爽快感がある。
「お姉ちゃんね、才能ないんだよ!痛いよ。私は、賞金で東京に行きます。」

さて、この作品で素晴らしいのは、文句の付けようのないキャスティングにもある。
佐藤江梨子が面白過ぎる。その狂人ぶりがファニーだ。バカ。変人。男性FAには、たまらない
シーンも用意されている。100万円で80回!想像しただけで、興奮。
妹の清深を演じた佐津川愛美のダークで物静かなで不気味な存在がいい。
爆発した時、僕は震えた。兄の嫁として優しい呑気な女性を演じた永作ちゃんも素敵だった。
悩みがないように見えて深い悩みがあって、夫との性的関係を力ずくで手に入れようとする
シーンは特に印象深く心に残った。明るくウザイ嫁。
佐藤江梨子は本作で地方の映画祭において主演女優賞を受賞しているし、
永作ちゃんは、キネマ旬報助演女優賞を受賞している。

必見、お薦めの作品だ。
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